ワーホリ!メタルドラマーが国際結婚?
今考えてみると色々なバイトをした。

初めてやったバイトは中三の時,引越しのバイトだった。

ダチと三人ぐらいで朝5時から夕方6時まで。

もらった日給5千円ですぐ居酒屋に行き全部使った。

中三とはいえDCブランドのジャケットを着飾った俺達は
怪しまれる事なく居酒屋に入れた。

変わったバイトといえばラブホテルだった。

時給がよかったのでダチに誘われて始めたが、
ほとんどは掃除やベッドメイキングだった。

最初のうちは退屈だったが、ある日隣の部屋から女のイイ声が聞こえてきた。


「チクショー昼真っからイイ声出しやがって・・・」


クライマックスに向け、イイ声から雄叫びに変わった。

凄まじい声だ、誰か殺されたかと錯覚してしまう雄叫びだった。

後で分かったことだが、AVの撮影をしていたようだ。

トレーシー・ローズは何度も見ていた俺とて、衝撃は凄まじかった。

しばらくして「イイ声」は慣れてきたが、掃除は相変わらず大変だった。

客は部屋を汚し放題!

人間色々だが汚し方にも個性がある。

100個ぐらいの水風船を風呂場に置きっぱなしにする客。

なぜかハートチップルをベットにばらまき、ベッドをガーリック臭くする客。

しかしここまでは序の口だった。


ある日、一生忘れられない戦慄な光景が俺の眼球に突き刺さった!


掃除をしに部屋に入った瞬間、息を呑んだ。

まだ誰かいる・・・


「客は帰ったはずだけどな・・・」


恐る恐る入って行くと、左側にはジャグジーがあり、

なんとそこにはダッチワイフが湯船に浸かっていたのだ!

口をあけ、額からは微量の汗がしたたり落ちていて、なんとも気持ちよさそうだ!

しかも右手にブランデーグラスを持って、すっかりくつろいでいた!


その様はまるで、”ゆうたろう”そのものだった。


それを見て俺は自然とつぶやいていた。


「究極のリラクゼーション・・・」


まさかダッチワイフに「究極のリラクゼーション」を教えてもらうとは知るよしも無かった。


「なんてこった・・・」


< 55 / 241 >

この作品をシェア

pagetop