ワーホリ!メタルドラマーが国際結婚?
アンダーヘアーはけして公共の場ではお目にかかれず、常にベールに包まれた代物なのだ。


人々は


「見たいけど見れない、引っ張りたいけど引っ張れない」


人間の欲求を見事につき、カリスマ的な存在というのは周知のとおりである。

と大袈裟に言ってみたがアンダーヘアーほど人々がペイ・アテンション(注目)する体毛はないのだ。


現に


「アンダーヘアー解禁!」


と言って人々の購買意欲をかきたてる事が出来るが、


「パイ毛解禁!」


と大々的に宣伝をしても、人々は気持ちわるだけだ!

それほどアンダーヘアーはカリスマ的な存在で

パイ毛なんぞ足元にも及ばない。

だからミックの口に張り付いている俺のパイ毛を見たみんなは


「なんてダーティーなのコイツ!」


と、まずアンダーヘアーだと思うのは人間の自然な思考ではなかろうか。

みんなはただミックの口から毛が落ちちるのを待つしかなく、
楽しんでいたのは俺ただ一人だった。


「なんでコイツ気が付かないのかな?」


「するめイカだってこんなに長い間くわえてないだろう?」


「もしかして・・・いいダシ出しちゃってんのかな?」


「酒のつまみにちょうど良いのかな?」


なんて余計な事を考えていたら胸焼けしてきた・・・

あと5秒でくわえパイ毛のギネスブックに載ろうかという時。

パイ毛がミックの口からスローモーションのように
ティナの方へひらひら落ちていった。


「どうだこの黒光!やたら光沢があるだろう!」


と、スーパーモデルの様に見せびらかしながら落ちた。

その瞬間ティナは「ぎゃー」と後退りした。

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