ワーホリ!メタルドラマーが国際結婚?
その先輩は相当ショックだったようで肩を落し仕事も手につかない状態だった。

俺もビビッたが「いい気味だバカめ!」と思って何も声を掛けなかった。

その後その先輩は背を向けいっさい仕事をしなかった。


「いいかげん仕事しろよ!」


「いつまでもヘソ曲げてるんじゃねーよ」


何もしないこの先輩に腹が立ってきた。


「いつまでも背を向けてるんじゃねーよ!」


と思った瞬間、俺の頭のジュークボックスがとんでもない曲に針を落とした。



「ねえムーミンこっち向いて!恥ずかしがら~ず~に~」


殴られヘソを曲げた先輩に


「ねえムーミンこっち向いて!」


はないだろう。

しかし俺のジュークボックスは何度もムーミンを流し続けた。


「あ゛~何度も流れるな!俺はちっともそんな事思ってないぞ!
こんなやつこっち向かなくていいよ!」


そう思うと余計にムーミンの曲が畳み掛けてくる!


「あ゛~ダメだ!ノンストップで終わる様子がない!」


だんだん腹が立ってきた。


「も~ここまできたら逆に歌ってやろうか!」


「ムーミンの曲でこの先輩とミュージカルでもやってやるか!」


「この狭い店内で客そっちのけでやってやるか!」


「客はビックリするだろうな!ビデオ屋来たら、
店員2人がムーミンをガンガンに流してミュージカルやってたら・・・」


やけくそになって想像してみたが寒気がしてきた。

バイトの残りの2時間、俺はおしんの様に耐え忍んだ。
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