ワーホリ!メタルドラマーが国際結婚?
「サマー、ロンドンに行くかもしれないのよ。」


「ロンドン?」


よく話を聞いてみるとワーホリでロンドンに行きたいらしく、
俺との仲が近くなるにつれロンドン行きが
なくなることを懸念しているらしい。


「元々アキと会う前から言っていたことなのよ」


「絶対行くのかな?」


「わからない・・・一度サマーに聞いてみた方がいいよ。
もしかしたら違うかもしれないから。」


「そうだね。」


俺はショックだった。

ミキもそうだけどなんで教えてくれなかったんだ・・・付き合う前に。

今が一番いい時なのに・・・なんでだよ!

サマーが仕事から帰る間、俺はサマーの部屋で一人考えていた。


「やっぱりただの遊びだったのかな?」


「でもそんな簡単にピリオド打てるのか?・・・俺にはできねー」


わずか1、2週間とはいえ女と一緒に住んだのは
これが生まれて初めてだった。

同棲がこんなに新鮮で楽しいものとは知らなかった。


「ここまできてピリオド打てるか!」


しかしそれはサマー次第である。

やはりオージーの女にはこれぐらい大したこと無く、
付き合った内にも入らないのかもしれない。


「日本人はやっぱりうぶだな・・・」


自分を慰めてもはじまらない。

しばらくは「行かないでくれ!」と言おうか?

それとも男らしく諦めるか頭の中で葛藤していた。

するとサマーの車が停車する音が聞こえた。

サマーの部屋にいた俺は恐怖に駆られていたが、
おもいきってサマーを抱きしめに外へ行った。

しかしサマーはあまりにもそっけない。

キスもせずにミックとミキのところへ行ってしまった。

その瞬間、俺は角材で頭を殴られたような衝撃が全身へ伝わった。

それは決定的だった。

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