ホスピタル



「よし!じゃあ聞け亜梨紗。梨愛ちゃんも梨磨ちゃんも聞いてね」


「はい!」

「梨磨、ちゃんと聞きまする!」


「どうぞ話して下さい。しっかり聞きますよ」


「手止めなくていいから!さっきも言ったでしょ?ご飯食べながらゆっくり聞いて」


「はい。わかりました」




「よし、じゃあ話すわよ。亜梨紗は私の仕事知ってるわよね?」


「はい。会社経営してらっしゃるんですよね。有名ブランドの」



そう、おばさんは
若者から絶大な人気を誇る有名ファッションブランドの会社を経営する、敏腕女社長だった。



「そうなの。それでね海外から、ドイツからね、先月オファーがきたの。私のブランドをドイツに出店させてほしいって」



「そうなんですか?飛鳥さんすごいじゃないですか!!おめでとうございます」


お母さんは自分の事のように嬉しそうだった。


「ありがとう亜梨紗!趣味で始めた、本当に小さな会社だったのに、海外にも支持してもらって本当に嬉しかったわ。でもね、営業と監督をするにあたって、数年は日本を離れなきゃいけないの」




「え...?」



カラーン



静かな部屋に、
お母さんが落とした
箸の音だけが響いた。



小さな私達は
難しいおばさんの言葉を
理解する事は出来なかった。


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