ホスピタル
「あっごめんなさい。日本を離れるってどれくらいなんですか?」
お母さんは箸を拾ってから静かに喋りだした。
「急な話で驚かせちゃったわよね。ほら、箸貸しな。洗ってくるから」
「すいません」
ジャー
今度はおばさんの箸を洗う音だけが響く。
本当に静かな空間だった。
「はい、箸」
「ありがとうございます」
「えっとね、どれくらいになるのか私にもわからないのよね。1年後かもしれないし、もしかしたら10年後になるかもしれない」
「10年って...」
「でもいずれ帰ってくるわ。大変な思いさせちゃうけど、幹也も連れていく。私にとっても、幹也にとっても、いい経験になると思うの」
「そうですよね..。頑張ってください。応援してますから」
「ありがとう亜梨紗。梨愛ちゃんと梨磨ちゃんは理解出来てないわよね」
「そうみたいですね」
「2人とも、よく聞いてね」
「聞きます!」
「聞きまする!」