ホスピタル



─ピンポーン─



あたしの嫌な思考を
止めるように、
部屋中にインターホンが
突然鳴り響いた。



「私がでるよ」



私はただ、少しだけ、
少なくとも今だけは、
梨磨の前から離れたかった。





インターホンに映る
ドアの前にいる人。


それは私達の
愛しい愛しい人。


さっきの噂の張本人。




─────ガチャ。




「みーくん」



「あっ!あーちゃん!」



「どうしたのー?」



───あたしは今、笑えていますか?




「あのねあのね!お母さんいなくて暇だったから遊びに来たの!遊ぼう?」



「いいよー!!」



にこにこするみーくんが
とてもとても可愛かった。


「わあーい!おじゃましまーす」




「あれ?みーくん!!」


「まーちゃんだー!遊びに来たよー!!」



「わあーい!遊ぼ遊ぼ!!」




嬉しそうだな、梨磨。


幸せそうだなー。



「あっ!!梨磨!私本屋行ってくるねー」



「えー?あーちゃん本屋行くの?じゃあ俺も一緒行くよー?」


「そうだよ梨愛ー!3人で行こう?1人は寂しいでしょ?」


ごめん、梨磨。
今は2人を見たくないよ。



「大丈夫だよー。梨磨と違って私寂しんぼじゃないもん!すぐそこだし1人で大丈夫だよ!」



「本当にー?」



「うん!本当!2人は楽しく遊んでてー?」



「うーん。じゃあわかったよー」



2人共煮え切らないような顔をしていたが、私は押し切って家を出た。


< 170 / 176 >

この作品をシェア

pagetop