ホスピタル




「ねえ幹也。幹也は何を見ているの」



幹也は何も喋らない。



私を突き放す言葉以外は
絶対にくれなくなった。



窓しか見ない幹也。
何も喋らない幹也。



幹也は変わった。



深い深い傷をおって
幹也は変わってしまった。


私を突き放す事など
優しい幹也はしなかった。


それなのに、
幹也は突き放す事しかしなくなった。



ガラガラガラ



「幹也ー!」



窓からドアに目を向ける。


「おばさん」


「あら梨愛ちゃん!今日も来てくれてたのね。ありがとう毎週毎週!」



「こんにちは。全然いいんですよ。幼なじみですから!」



「ありがとうねえ。あっ飴買ってきたの!何味がいい?ぶどうとねー苺とねー」


「苺いただきます」


「あっそうだったわね!はい苺」


「ありがとうございます」



幹也のお母さんから
もらった苺味を
口に頬張る。



「はい幹也。あんたはどうせぶどうでしょ!」



おばさんが幹也の
左手に飴を置いた。



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