ホスピタル



「おばさん!左手はっ」


幹也の手から飴が落ちた。

幹也の左手は飴を
握ることなく、
ぶらさがったまま。


「あっごめんなさい。ごめんなさい幹也」


幹也の左手は動かない。



どの手術をしても治らない。



先生からそう言われた。



幹也の家は母子家庭。

1人で聞くのは怖いからと私も一緒に先生の話を聞いた。



そこではっきりと

「もう左手は動きません」


そう言われてしまった。



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