ホスピタル



おばさんが拾いに行こうとした時。


「いいよ母さん。自分で拾うから」


おばさんを気遣って
次は幹也が自分で
右手でしっかりと握った。

優しい幹也。

優しい優しい幹也。



「梨愛。お前はもう帰れ」


窓だけを見つめて
1度も私を見ずに
また私を突き放す。


「こら幹也!そんな言い方ないじゃない。せっかく梨愛ちゃん来てくれたのに」


「いいんですよおばさん。おばさんが来てくれたんだし私もそろそろ帰りどきだと思っていたんで」


にっこり笑ってそう言った。



泣きそうな気持ちを堪えて私は幹也に突き放された。

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