ホスピタル
病室の外で泣きそうになっていたら、病室の中からかすかに幹也の声がした。
おばさんとは普通に喋るんだね。
私には冷たくて、
何の声もかけてくれないのに。
ううん、
声なんていらないよ。
ただ前みたいに
笑ってほしい。
笑顔を見せてほしい。
子供みたいな
可愛い笑顔が見たいよ。
私のだいすきな
幹也の笑った顔。
もうきっと見せてくれない写真の中でしか見れない無邪気な顔。
「幹也のばか」
そんな言葉を残して
私は病院から逃げ出した。