ホスピタル



「梨磨今は遊びに行ってるよ」


嘘をついた。
こう言うしかないから。



「ふーん。残念!!」



すぐ諦めてくれてよかった。



「ってか梨愛ーっ。この子達みんな同じ高校なんだよ!!」


里美ちゃんは知ってる。
よくクラス来てるし。
でも男の子は知らない(笑)


「ごめんなさい。里美ちゃんしかわからないかな」



「ひっでーよ梨愛ちゃん!!俺前ちょっと喋った事あるのにー!!!」


「俺だって手振ったら反してくれたし!!」


「俺だって目合ったらあの天使の笑顔でにこってしてくれたもん!」



男達がなぜだか騒ぎだした。



「梨愛ちゃんマジで覚えてくれてないのー?」



あーごめんなさい。
私あんまり人の顔覚えられないみたい。



「ごめんねーっ。今からはちゃんと覚えるよ!」



「マジでーっ?俺同じ高校の3年!佐々木隼人。ちゃんと覚えてねーっ。俺と付き合ってよー」



「お前抜け駆けとかねーぞおい!同じく3年、荒木悟。こいつじゃなくて俺と付き合ってよ梨愛ちゃーん」


「お前らマジやめろって。3年。杉浦拓哉」



最後の男の子だけ雰囲気が違った。


切れ長な目をした、
茶髪でふわふわな髪の男の子。



「わかったよー。隼人君と悟君と拓哉君ね。ちゃんと覚えたから!」


なぜだか最後の男の子だけ強く頭に残った。



これが拓哉との出会いでした。



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