大好きが溢れるまで


ガラガラという音がすると、4組の人たちが沢山出てくる。
その中でも、中根の顔を捜すと4組の男子がコソコソと言った。




「あ、仲井と大智が付き合ってんのってマジじゃね」


「実際ああやって待ってるしね」


ちゃかすように、聞こえるように言う男子を無視して、私は中根に話しかけた。



「今日掃除当番あるの?」


「仲井?…いや、ないけど」


「お話ししたいんだよね、君と」


「あ、別にいいよ!一緒に帰る?」


「うん」



他の子が見たら、これは付き合ってるように見えちゃうのかな?
男女が一緒に帰ると恋愛に結びつくのは何で?
そう心で訴えても、誰も答えてくれない。

私と中根はいつもの公園に着くと、ベンチに腰をおろした。



「仲井が呼び出しとか、恐い~」


冗談だかマジだかわからないような笑顔で中根が言うと、私はそっけなく言った。



「…噂のこと知ってる?」


「俺と仲井が付き合ってる…とか?」


「知ってるんだ?」


「すんごい聞かれるし、知ってんのも当たり前」



笑って答える中根は、何でかかっこよく見えた。
別に恋愛感情を持ってる訳じゃない…。
だけど、さっきの笑顔はそう見えちゃったんだ。



「知ってるのに、いいの?」


「…いや、仲井こそいいの?」


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