大好きが溢れるまで
暖かい日差しが、もう初夏を告げる。
緑がいっぱいの公園のベンチには、先に来ていた中根がいた。
「昨日はメールありがとう」
そう言うと、中根はまだ安心するなって笑った。
「でさ、このままでいいの?」
「…私は付き合いたいとか思ってた訳じゃないし…」
「じゃ、いいんだ?」
「…う、」
正直、その事実を知って、告白したい!とは思わなかった。
だけど、最近芽生えた、私の望み。
…恋をすると、どうしても今以上を求めてしまう。
確かに…付き合いたいと、最初は思ってなかった。
今は、話したくて、側にいたくて、飯田にとって他の女の子とは違う存在になりたい。
そう思ってる、だけど、素直じゃない私は中根にも本音を隠している。
「はぁ…」
ため息をついた中根は、あの日のようにベンチから立ち上がった。
「今から、あいつん所行こう」
「え、ちょ、なんで!?」
「お前の気持ち伝えろ!」
そう言って、中根は私の手をぐいぐい引っ張った。
途中で、ちょっと待って!と何度も止まっては、時間潰して。
飯田は今、テニスの壁打ちをしてるらしい。
それってつまり…私、今から告白するってこと?
「ま、待って~」
「もうここまで来て、まだ待つの?」
「こ、心の準備が…」
「じゃ、待ってて。呼んでくるから」
そういい残して、中根はテニスコートへと向かった。
私は1人、コート裏のベンチに座る。