大好きが溢れるまで

January




中学1年の1月。


ばっさり髪を切った私は、まるで別人のようだった。
学校に行くとみんな驚いて私を見る。
だけど、そんな事はどうでもよかった。
最近やたら気になる男の子がいる。
本当にムカつく奴で、意地っ張りで挑発的。
それなのに不器用だから、見ててイライラする。
だけど…なんでかな。毎日話したいって思うの。

私はその気持ちに気付けず、友達に話した。
自分だけじゃ…解決できない気がしたから。


「亜美…最近、飯田と話したいってすごく思う。何でかな?」


学校終わった放課後、亜美の部屋で漫画を読む。
それが私たち2人の日課。
いつも通り漫画読んでるけど、私は漫画越しに言葉を放った。


「え…何言ってんの?」


漫画からひょこって顔を出した亜美。
その顔は、驚いて言葉も出ない!って顔。
私は歩み寄って、亜美の隣に行くと体育座りになった。



「ずっと目で追っちゃうんだ。
これって…やっぱ好きなのかな」



読んでいた漫画を床に置いて、亜美は私の肩に手を置いた。
それに気がついて、顔を上げてみる。
目の前には、亜美の真剣な顔があった。



「それは…完璧な恋です」


そうだけ言うと、亜美は漫画を手にし、また読み始めた。
ポカンとした私を放っておいて、時間は過ぎ去った。


「じゃ、もう7時だし帰るね」


「また明日ねー!」



ガチャンと閉まる扉を確認すると私は自宅へと足を進めた。



「…やはり、恋でしたか」



嫌いな人を、いつの間にか好きになってた。
それって、結構あることなのかな?そんな疑問を胸に。
私にとって始めてのパターン、対策を練るしかなかった。

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