Boys Summer Love!
伯母は由月の部屋の前まで来ると、笑顔で去って行った。

伯母は由月に懐かれているみたいだし、声ぐらいかければいいのに…。

でも他の子供達の手前、あんまり由月ばかり甘やかすこともできないのかもしれないな。

そう思いながら、僕は声を出した。

「由月、ご飯持って来たよ」

「ああ」

由月は襖を開けてくれた。

「母さん、戻ったんだな」

「うっうん。食事中に抜け出してきちゃったから」

そう言えば由月は足音で人が分かるんだったな。

「…これから料理は自分で運ぶ」

「えっ?」

「母さんの手を煩わせてばかりもいられないからな」

そう言って伯母が持ってきたお膳を持って、部屋の中に入った。

僕も慌てて中に入る。

「由月はさ、伯母さんのことは好きなんだよね?」

「ついでに弟や妹も。親父や姉貴達は正直好きじゃない」

「でも伯父さんも悪気があるワケじゃないと思うよ? 由月に立派な跡継ぎになってほしいんじゃ…」

「今更跡継ぎなんて大層なことを言っても、所詮この家と畑と田んぼ土地ぐらいなんだ。そう重いもんじゃないのに、あのバカ親父は…」

「でっでもホラ、昔は知名度あったんだろう? 金や温泉が取り放題だったって聞いた」
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