好きな人は芸能人

店内は薄明かりで、
モダンでお洒落な雰囲気のお店だった。


「あぁ～」

梨香は、
不意に呟き足を止める。

「何っ、びっくりしたぁ」

「加奈子たち、もう来てるじゃんっ早い～」

「加奈子たち？」

「あと二人のこと」

「あぁ」

「ノリノリねぇ」


含み笑う梨香に続いて、麗菜は、
加奈子たちと男性陣の待つテーブルへと歩みを進ませた。


梨香が、猫なで声で言う。

「お待たせしましたぁ」

「あぁ！来た来たっ
今晩わぁ～☆」


男性陣たちは、
一斉に席を立つ。


「すみませぇん」


可愛らしく言う梨香に続いて、
麗菜は、気乗りしない心情を顔をに出さない様にとりあえず努めながら席へと座った。


「皆さん揃ったのでっ、乾杯といきますか☆」

一人の男がノリノリで言う。

それに連なって、
皆が盛り上がり便乗する。


麗菜は、
そんな光景をみながら愛想笑いし、
ただ
憂鬱でしかなかった。