教育実習日誌〜先生と生徒の間〜
指導教諭の心構え
【健の指導教諭記録】
「先生のケチ。
いいじゃん、ちょっとくらい見せてくれたって。
別に減るものじゃないんだし」
今、菫は俺のカバンの中に入っている、学級日誌と閻魔帳を狙っている。
今から見たら、他の実習生より有利になってしまう。
意欲は解るが、それでは不平等だ。
「絶対に見せない!
無茶を言う奴は立入禁止にしてやる!!」
もちろん、冗談だが。
せめて休みの日ぐらいは、俺と一緒にいたいだろ?
だから、ちゃんと言うことを聞いて欲しい。
だが……。
「……立入禁止なら、もう、私、先生と『仲良く』なれないよね。
わかったよ。
教育実習が終わるまで、ここには来ないから。
だって、先生も迷惑だよね……」
そ、そう来たか!?
いや、迷惑とかじゃなく、ちゃんとけじめをつけるために仕方なく、だったんだが。
週末も『仲良く』できなくなるんだぞ!!
菫はそれでいいのか!?
……いや、お互いのためにはそれがいいのかも知れない。