教育実習日誌〜先生と生徒の間〜
香西ファミリーを乗せた車が駐車場を出たらしい。


「体、起こしてもいいぞ。たんこぶできてないか?」


先生が私のおでこを見る。


久しぶりの至近距離で、ちょっと恥ずかしい。


「大丈夫、石頭だもん。それより、吉川君の電話番号!」


自分でおでこをなでなで、番号を送信。


それから、美羽ちゃんの状況を説明して、最後に彼女からのメッセージを伝える。



「私は、絶対に産みますって言ってたよ。

あんなにはっきり、きっぱり話す美羽ちゃんは、初めてだった」



時々、頷きながら聞いていた先生は、美羽ちゃんのメッセージを聞いてもあまり驚かなかった。


ちょっと、意外な気がした。


だって、自分のクラスの生徒がそうなっちゃったら、普通はびっくりじゃない?


そんな私の気持ちが読めたのか、先生はあっさりとこう言った。


「妊娠したって聞いた時から、そう言いそうな気がしてた。

実は、木内で3人目だよ。

自分のクラスの生徒が、在学中に妊娠するのは」


えええええ〜〜っ!


びっくりしたのは私の方だった。

< 112 / 290 >

この作品をシェア

pagetop