教育実習日誌〜先生と生徒の間〜
「俺、前任校が田舎のヤンキーだらけの学校だったからな。
2年で妊娠した生徒は、中絶を選んだ。
3年で妊娠した生徒は、卒業まで隠し通した。
卒業式の時にはもう6ヶ月だったって後から聞いて、驚いたな。
正直なところ、表に出ないだけでこういう話は本当に多いんだ」
「もしかしたら、私が知らなかっただけで、うちの学年にもいたのかな?」
だとしたら、かなりショックだ。
「いや、うちみたいな進学校では珍しい。
しかもうちの高校でもトップ3に入るような、出来のいい吉川が相手とはな。
・・・・・・気が重いけど、電話するか」
私はもう、ただ黙って成り行きを見守ることしかできない。
あとは、先生の仕事。
いや、正確には先生の仕事の域を超えていると思う。
当事者は絶対安静で電話すらかけられないし、下宿生で家族もいないから。
こんなに責任の重い電話、かけたい訳がない。
それでも先生は、発信ボタンを押した。