教育実習日誌〜先生と生徒の間〜
だが、担任としてこれは知らせておかなくては。
「もし、希望通り『産む』と決めた場合、木内は残念ながら退学だ。
校則にもある通り、不純異性交遊は固く禁じられている。
ましてや、妊婦を受け入れられるようなカリキュラム及び環境ではない。
他の生徒への影響もあるし、高校生には産前・産後休暇なんてものは存在しない。
仮に『産まない』選択をした場合、学校はそのまま続けられる。
木内がどちらの選択をする場合も、お前は今まで通り学校を続けられるぞ。
・・・・・・ただし、18歳を超えていたとしても、お前が卒業しないと入籍は認められない。
つまり、木内は15歳で『未婚の母』になるか、辛い手術を受けるか選択しなくてはならない」
いきなり、残酷な現実を突きつけていることに心が痛む。
だが、木内の心の痛みは、こんなもんじゃなかったはずだ。
これからの事を考えて、今も泣いているかも知れない。
1年前の菫を思い出して、さらに心がずきんと脈打つ。