教育実習日誌〜先生と生徒の間〜
厳しい話を続ける。
「木内の保護者にも早急に知らせなくてはならないが、どうする?
学校で起きた怪我や病気は当然担任が連絡するが、こういう問題にまで介入すると、余計にもめる気がするんだ。
『相手の男は逃げて連絡もよこさない』という風に受け取られる可能性がある。
それでも良ければ、俺が電話するけどな」
ここまで言われても俺に頼るようだったら、男として終わってると思ったが。
「わかりました。美羽と話し合ってから、僕が電話します」
きっぱりと、俺の目を見て言った。
見込みのある男、かも知れないぞ、木内。
もともと真面目でよくできる男だからな。
「それじゃあ、木内と話し合ってから、自分と木内のご両親に連絡すること。
いいか、木内は今、トイレ以外絶対安静で病室では携帯も使えない。
精一杯の誠意を感じさせるような電話をお前がするほかないぞ。
高校生のお前達には、どちらの選択をするにせよ、保護者の支援が欠かせない。
今夜、どうなったのか俺に電話しろ。いいな?」
「はい・・・・・・松本先生にも安西先生にも沢山ご迷惑をおかけしました。
すいませんでした」
「俺はいいから、木内に謝れ。今まで不安にさせてすまなかったって、な?」