教育実習日誌〜先生と生徒の間〜
そう言い終わらないうちに、先生の顔がすぐ目の前に。
「もう、観念してください」
囁くように言われて、ついに私の理性も白旗を揚げたその時。
無視できない、重厚な音が鳴り響いた。
どきっとして、二人ともすぐに離れる。
先生のポケットから流れるメロディは、なぜか『ダースベ○ダー』のテーマ。
すっかり白けた雰囲気の中、先生がしぶしぶ携帯を開く。
「吉川からだ」
露骨に嫌な顔をしているのは、決して彼が嫌いだからではなく、このタイミングで掛けてきたからだと思う。
……吉川君、キミは意識しないまま、松本先生を凹ませるのが得意なのね。
また、ハンズフリーモードにしてくれるのかと思いきや。
「もしもし……大丈夫。どうなったんだ?」
今回は普通に出た。
そっか、うちの両親もそろそろ帰ってくるかも知れないもんね。
もう、8時半を過ぎていた。