教育実習日誌〜先生と生徒の間〜
「他の実習生との不平等が生じてしまうから、今からうちのクラスの事を知るのはよくない。
解るよな?
学級日誌も俺の閻魔帳も、明日見せてやるから。
熱意は認めるし、寂しい気持ちも解るから、泣くな」
よ~しよしよし。
沢山、我慢させていることは解っている。
結局、俺のせいで菫は中学校の教員免許を諦めた。
現在、中学校と高校の教員免許を両方取得するためには、どちらかの学校で3週間の教育実習が必要となっている。
うちの学校で3週間以上の実習は、地元の教育大生以外受け入れていない。
菫は、悩んでいた。
中学校へ実習に行けば、3週間受け入れてもらえて、両方の免許が取れる。
それまで取得した単位を無駄にすることなく、生かすこともできた。
だが、菫が選んだのは、高校の免許と小学校の免許を取得することだった。
『だって、また先生を学校で見られる貴重なチャンスだもん。
それにね、先生のお嫁さんになるのに、中学校の免許は必要ないでしょ?
私、できれば小学校の講師になりたいな。
そうすれば、先生の転勤にもついて行けるから』
そして、付属小学校での実習を既に終わらせ、後は高校の実習のみとなったらしい。
せっかくの菫の可能性を、俺がつぶしているんじゃないだろうか。
いつも我慢させているんじゃないだろうか。