教育実習日誌〜先生と生徒の間〜
「先生、私……」
……まただ。どうしてそう、俺の弱いところをわしづかみにするのか。
大きな目を潤ませて、両手を胸の前で握って、縋り付きたいような顔をして見上げてくる。
その、捨てられた子犬のような姿に弱い俺。
「大丈夫だ。
2週間、実習生として楽しむといい。
それが終わったら、また、俺の彼女だから」
早速厳しいことを言ってしまったが、ちゃんとフォローはする。
久しぶりに抱きしめた腕の中。柔らかくてあったかい。
明日からさらに厳しくなるだろうが、それが終わったら、あとは……。
「うん。指導教諭が終わったら、先生も私の彼に戻ってね」
耳元に、ちょっと高めの可愛らしい声が届く。
「今はまだ、恋人同士だから、本当はすごく『仲良く』なりたい」
あまりの可愛らしさに、今すぐそうしたい気持ちは山々だが。
「だけど、今夜の菫が頭に浮かんだら、指導教諭として接することができなくなりそうだ」
そう言った途端、赤くなってそっぽを向かれた。
仕方がないから、これで妥協。
「今はこれで、我慢する」
触れるだけのキスを落として、涙を拭いてやる。