教育実習日誌〜先生と生徒の間〜
はじめて菫にキスをした時も、こんな感じだった。
なんだかんだで、結構泣かせているような気がする。
「菫。
2週間、一緒に勉強して、楽しもう。
きっと、一生の思い出になるからさ。
知ってるか!?
俺が菫の指導教諭になるために、今までこっそり計画的に行動してたんだぞ」
菫の担任は国語科だったが既に退職しているので、普通は他の国語科の教員が、HRと教科をまとめて指導する。
7人のうち、時間講師と期限付採用が2人。
5人しかいない教諭で、担任を持っているのは2人。
1人は採用2年目で初めての担任。実習生などまだ指導できない。
もう1人は3年生の担任。ここへ菫が配置されるはずだったのだが。
教務部内での話し合いで、3年生は受験指導があるから、今年度以降実習生を受け入れないようにしようと提案したのは俺。
3学年付きの教務部長があっさりとそれを承認したため、菫の受け入れ学級がなくなってしまい、言いだしっぺの俺が『仕方なく』HRの指導教諭を引き受けた、という形になっている。
教科指導は、担任を持っていない、ベテランの『女の先生』にお願いしてあるところもポイントだ。
「うん。多分そうだろうと思ってた」
「俺の努力と忍耐力も誉めてくれると嬉しい」
菫が俺をなでてくれた。可愛い奴。