教育実習日誌〜先生と生徒の間〜
今日の実習授業は4時間目までびっしりだった。
国語って大抵、午前中に時間割が組まれているから、どうしてもそうなっちゃう。
その代わり、授業者の許可がもらえたら、午後の空いた時間はどの教科の授業を見に行ってもいいことになっている。
今までは指導案がちゃんとできていなかったから、全部教材研究に使ってたんだけど、今日は絶対見に行こうと思っていた。
5時間目が始まる前。
実習準備室に残っている、同じように5時間目が空きの人たちに声をかけた。
よし、4人連れて行けば、多少は心強いかな?
向かった先は、音楽室。
音楽室の入口に置いてある指導案を手に取り、教室の後ろへみんなと一緒に並ぶ。
教頭先生と教務主任、それから数名の芸術教科の先生がいた。
チャイムが鳴る。
岡崎先生と一緒に、隣の音楽準備室から出てきた裕香が、少し緊張した様子で話し始める。
授業の導入。
音楽の場合は、発声練習だったりするんだね。
ピアノの前に座り、生徒の方を向きながら起立と声をかけて。
生徒がゆっくりと……というより、ややだらだらと立ち上がる。
岡崎先生も後ろで、腕組みをしながらその様子をじっと見ていた。
発声練習……みんな、全然声が出ていないよ。
裕香の声だけが、かなり際立って聴こえていた。