教育実習日誌〜先生と生徒の間〜
一週目・実習初日
実習生の緊張
【菫の実習日誌】
「R大学文学部日本文学学科の、安西菫です。
2週間、精一杯頑張りますので、よろしくお願いします」
全校朝会。
ステージの上に並んだ教育実習生は、総勢12名。
1学年付きから順に並んでいるので、1年3組の私は2番目にご挨拶。
……あ~、緊張したっ!
マイクの前に立つとずらっと見える、約900人の生徒。
つい最近まで、私はそっち側にいた。
『だる~い。校長先生、話長いよぉ~』なんて、思いながら。
きっと、ここにいる生徒も『12人も挨拶すんのぉ~?』なんて思ってる。
だから、挨拶は最低限、短くはっきりまとめておしまい!
HRでちゃんと自己紹介する時間をもらえることになっているから。
朝の職員打ち合わせで、先生からそう言われた。
先生、もうすっかり指導教諭に変わってた。
私のこと、『菫』じゃなくて『安西先生』って呼んでたっけ……。
不思議な感じ。
嫌ではないの、でも、なんだかしっくりこなくて。
生徒の手前、実習生にも『先生』をつけることになっているのはわかるし、小学校の実習でもそう呼ばれたんだけど。
先生から『先生』って呼ばれるのは、ドキドキする。