教育実習日誌〜先生と生徒の間〜
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病室には、大きなバッグや紙袋に入った荷物がまとめて置いてあった。
木内は、まだベッドに横たわってはいるが、普段着に着替えている。
木内の隣に寄り添うように座っている吉川が、立ち上がって俺に会釈をする。
「今、父が美羽の……患者の引き継ぎをしています」
「そうか。親父さんが主治医になるなら安心だよな」
「はい、お陰さまで」
たとえ僅かな時間でも、吉川と木内を二人だけにしてやろうと思った俺は、飲み物を買ってくるからと言って病室を出た。
自販機で、コーヒーを買った。
デイルームで飲むか……と思ったその時。
ナースステーションから、医師と共にスーツ姿の紳士が出てきた。
吉川によく似ている。
おそらく、引き継ぎが終わったのだろう。
挨拶をして、そのまま木内の病室へ向かって歩いていくようだったので、思いきって呼び止めた。
「吉川先生、ですよね?」