教育実習日誌〜先生と生徒の間〜
「あ、あのね、私、教員採用試験は受けないつもりなんだ」
アドレスを交換しなくちゃならない理由を無くしてしまおうと考えて、そう答えたら。
「ええっ? 受験しないの!?
もしかして、他の公務員試験とか一般企業を受けるつもり?」
「ううん、それもちょっと違うんだけど……」
「あ、わかった! 院に進むとか?」
「いや、そうじゃなくてね……」
ああもう! あんまり質問攻めにしないで欲しいのに。
先生はやっぱり向こうで睨みつけてくるしさ。
だったら助けに来てくれてもいいじゃないの!
……なんて、無理なんだろうけど。
「菫は、お嫁に行くんだよね~?」
裕香が私と渡辺君の間に割って入ってきてくれた!
ありがと、裕香!!
でも、そのネタを今振られるとまたちょっと困ったことになりそうなんだけど。
「えええっ!! それマジ?」
案の定、渡辺君が食いついてきたじゃない。
「……うん、マジ、かも」
「だから私が菫のブーケもらうんだもんね~!」
……裕香、結構酔ってる、かも。岡崎先生はこの会を欠席してるから、ちょっと羽を伸ばしているのかな?
「相手って、どんな奴?」
あ~あ、やっぱりそれを聞かれちゃったじゃないの!