教育実習日誌〜先生と生徒の間〜

「それで本当にいいんですか?

ご迷惑をおかけすることにはなりませんか?」



私が一番心配なのは、それ。


だって、バレたら大変なのは、絶対に先生のほうだもん。


私はいざとなれば、実習をあきらめて、教員免許も小学校だけにするっていう方法がある。


でも、先生は私の実習が終わってからも、ここで働くんだから。


卒業しているとはいえ、元教え子で、教育実習生と噂になったら、先生にとってマイナスでしかないもの。


廊下でまた、立ち止まる先生。



「大丈夫です。かえってそのほうが、安西先生も実習に集中できるかも知れません。

こんなに可愛い実習生が来たら、うちの生徒が騒ぐに決まっていますから」



……真面目な口調を崩さない中も、さらりと嬉しいことを言ってくれる。


先生、反則でしょう、それ。


うううっ、そんなににっこり笑って振り向かれると、ついついくせでやってしまいそうだよ。


『はぐはぐ』のおねだり。


初日の朝からこんなんで、大丈夫なのかな、私。

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