教育実習日誌〜先生と生徒の間〜
先生の後ろをついて歩き、ついに教室の前へ。
1年3組 松本健
と書かれたプレートが付いている教室。
ドアを開ける直前、先生から言われたのは。
「実習生は失敗して当たり前です。
失敗をフォローするのが私の役目ですから、気にしないこと。
どうか、どんどん失敗して、それを教訓に沢山のことを学んでください。
失敗を恐れて小さくなっていては、安西先生らしさがなくなります。
ありのままの『安西菫』で、生徒たちにも向き合ってください。
……きっと、好意を持ってもらえるはずですから」
堅苦しい話し方の中に、なんとなく先生の本音が見えた。
先生は『ありのままの菫が好きだ』って言ってくれる。
つまり、教育実習でも取り繕わないで、そのままの私を出してほしいってこと、かな?
元々、そんなに器用じゃないから、取り繕うなんてきっとできないけど。
よし! 私らしく自然にすることにしとこうっと。
先生に向かって、静かに頷いた。
教室のドアが開けられ、中に入る。
一斉にこちらを見る、40人の生徒達。
懐かしい制服、懐かしい教室。
違うのは、私が今いる場所。
先生に促されて、教壇へ……。