教育実習日誌〜先生と生徒の間〜
いつものように先輩の部屋で勉強していた私達。
ポケットに入れていた私のケータイが鳴った。
お母さんからのメールだった。
明日の入学式について、詳しい時間の確認。
「誰?」
「お母さんです」
「ふうん。……ねえ、俺も美羽ちゃんのメアド知りたい」
「え?」
「ケータイ貸して」
赤外線で送信された、お互いの電話番号とアドレス。
こんなことされたら、期待しちゃう私は間違っていますか?
いつもより熱心に教えてくれる先輩。
……近い、かも。
ローテーブルをはさんで、向き合って座る私達。
一緒にノートや教科書を覗き込むと、ほんの少ししか離れていないことに気づく。
どうしよう。
意識しちゃったら、余計に気になってしょうがない。
「で、ここの公式にあてはめてみるとこの数字が……」
耳元がくすぐったい。
吐息がかかるくらいの距離で、先輩が説明している。