教育実習日誌〜先生と生徒の間〜
ふらふらになりながらも学校へ行って、授業を受ける。
お弁当の時間、私には居場所がなかった。
いろんな食べ物の匂いが充満する教室には、とてもじゃないけれどいられない。
お弁当を持って、いつものようにこっそりと教室を抜け出してトイレへ。
下宿のおばさん、ごめんなさい。
せっかく作ってくれたお弁当、食べられずにトイレへ流すなんて、私は最低のことをしている……。
でも、その匂いだけで吐き気が襲ってきた。
トイレで苦しむ私に、突然声がかけられた。
「美羽ちゃん、大丈夫?」
……教育実習生の、菫先生だった。
親しみやすくて、可愛らしい感じの先生。みんなは「菫ちゃん」なんて呼んでいる。
私を気遣ってくれる菫先生と、二人だけで少し話ができた。
……もしかしたら、私の妊娠に、気づいてるかも知れない。
翌日も二人で話をした時、菫先生の彼との話を聞いた。
菫先生の体験談と、私が今経験していることが重なって、私は涙をこらえることができなくなってしまった。
菫先生にすがりついて泣いていたら、優しく頭を撫でてくれた。
「今まで、一人で不安だったよね」
そして、菫先生の家で、検査薬を使った。
くっきりと陽性マークが出たのを見て、私はまた泣いた。
菫先生のご家族に甘えて、泣いて、泣いて、目が潰れてしまうほど泣いた。