教育実習日誌〜先生と生徒の間〜
午後になり、トモアキ先輩のご両親と、少し遅れて私のお父さんも来た。
先輩のご両親は、とても穏やかそうな方だった。
先輩に良く似たお父さんは、私の体の状態を、私にもわかりやすく丁寧に説明してくれた。
産婦人科のお医者さんである先輩のお父さん……きっと、中絶をすすめるに決まってると思っていたのに、私の希望を最優先にするから、と言ってくれた。
良かった……。
問題は、私のお父さんだった。
病室に入るなり、私に怒鳴った。
「お前はどうしていつも、親の顔に泥を塗るようなまねばかりするんだ!」
私に掴みかかろうとしたところを、先輩と先輩のお父さんに止められていた。
「お父さん! やめて下さい! 病院ですよ!」
お母さんも止めに入って、ようやく少しだけ落ち着いたお父さんに、先輩が言った。
「僕はミウさんと真剣にお付き合いしています。
順序が逆になってしまいましたが、どうか僕が高校を卒業したら、ミウさんと結婚させて下さい。
いずれ医者になって、必ずミウさんを幸せにしますから……」
「いずれじゃ遅いんだよ!
今、この状態でどうするんだ?
まだ高校生だろう! うちの娘はせっかく入った高校を中退するのか?」
「お父さん、私はそれでもいいの。
だから産ませて! お願い……」
勇気を振り絞って言った言葉に、お父さんは激怒した。
「お前は何のためにこの高校へ来たんだ?
勉強するためじゃなかったのか?
入学早々、まさか子作りに励んでるとは思わなかった!!
よくもそんな親を裏切るような真似を平気で……」