教育実習日誌〜先生と生徒の間〜
この子のために、私は強くなる。
泣いてばかりじゃ、つわりだってひどくなってしまうって言われた。
私にできることは、とにかく安静にして、赤ちゃんの生命力を信じること。
そして、きちんと自分の将来に向き合うこと。
先輩とこれからのことについて話し合った。
先輩はこれまで通り、医学部進学を目指して勉強する。
私は高校を中退して、先輩の家族と暮らして出産する。
「うちの家族と一緒の方が、きっとミウは落ち着くと思うんだ。
父も、ミウの気持ちを尊重するって言っているから、そうして欲しい」
まだ高校生の私達は、自活することなんて絶対に無理。
先輩のお父さんのお言葉に甘えることにした。
それから、無事に出産できたら、もう一度高校へ入学することも考えた。
子育てと学業を両立できるか自信はないけれど、目標は大学を卒業すること。
お医者様になる先輩のお嫁さんとして、恥ずかしくない教養を身につけたいと思ったから。
こうして、将来の事を話すのは初めてだった。
私達はまだ、お互いの事をよく知らなかったんだって改めて思った。
これから、離れ離れに暮らすことになる私達だけれど、お腹にいるこの子が強い絆になるはず。
この子の立派なパパ・ママになるために、高校生の私達ができることはまだ限られているけれど。
この道を選んだことは間違っていなかったと思えるような生き方をしなくちゃならない。
赤ちゃんを産む、ということは、そういう重い責任を自覚することだから。
先輩は、私達の話を一生懸命私のお父さんに伝えてくれたらしい。
なのにお父さんは『勝手にしろ!』と言って話を打ち切ってしまったそう。
でも、お母さんによると『あちらの家の方が、きっとミウは幸せになれるだろう』と言っていたって……。
お父さん、お母さん。
私を信じて、親元から離れて進学させてくれたのに、ごめんなさい……。