教育実習日誌〜先生と生徒の間〜
そして……
高校を中退して、先輩の家で過ごすようになってから、半年が過ぎた。
もうすぐクリスマス、そして私は臨月のお腹を抱えて、産まれてくる赤ちゃんのために、フリースの布地でケープを作っていた。
春になって、ベビーカーでお散歩できるようになったら、これを着せよう。
お腹の赤ちゃんは、今日も元気に動いている。
むに、むに、ぐにょん、と感じる胎動はとってもダイナミックで、服の上からでも動くのがわかっちゃうほど。
お腹を撫でながら、赤ちゃんに語りかける。
「できれば冬休みに入ってから、パパのセンター試験の前までに産まれてきて欲しいな。
そうしたら、パパにも立ち会ってもらえるからね」
都合のいいお願いだけど、出産予定日はちょうどその頃のはずだったから。
私達の赤ちゃんは、ちゃんと願い通りの日にやってきた。
12月24日、クリスマスイブの朝。
トイレに起きた私のお腹が、突然ぱちん、と衝撃を感じた。
あ、と思ったら、破水していた。
慌てて廊下で叫んでいた。
「お義父さん! お義母さん! 赤ちゃんが!!」
こんなに大きな声で叫んだのは、初めてだった。
バスタオルでぐるぐる巻きにされて、お義父さんの勤務する病院へ車で連れて行ってもらった。
急に痛くなってきたお腹。
破水してしまったので、そのままLDRへ入り、すぐに着替える。
まだ陣痛は10分間隔。今日中には産まれるとお義父さんに言われた。
終業式が終わったら帰ってくるはずの先輩。
どうか間に合いますように……。