教育実習日誌〜先生と生徒の間〜
あはは、と笑いながら打ち明ける私に対して、美羽ちゃんはちっとも笑っていない。
……やっぱり、予想通りの反応を見せている。
それでも私は話を続ける。
「それでね、家に帰ってから『たまごク○ブ』を少し読んだの。
読者から投稿された、赤ちゃんのエコーの写真が、すっごく可愛くて。
最初は豆粒みたいな形だったものが、魚みたいになって、手足ができてきて、だんだん大きくなって。
そのうち、お腹の中でも指しゃぶりしている写真とかも出てくるの。
自分のお腹の中にも、そんな豆粒みたいな赤ちゃんがいるって思ったら、すっごく幸せな気持ちだった。
ただ、彼にはその時まだ言えなかったの……」
当時の私は大学3年生。卒業まであと2年近くあったから。
先生も自費で大学院に通う学生だったから、自分の貯金を切り崩して生活していた。
もし、私が出産するとなれば、先生はきっと大学院を辞めて、教員に戻ってしまう。
大学院を卒業するという先生の夢が消えてしまうと思ったら、言えなかった。