教育実習日誌〜先生と生徒の間〜
「お母さん……いいの?」
「あのね、検査薬で陽性でも、子宮外妊娠っていうこともあるわ。
その場合、早くそれを見つけないと、大変なことになってしまうの。
他にも正常じゃない妊娠だったら、一生子どもを産めなくなるかも知れない。
こんなこと、下宿のおばさんには頼めないわ。
お母さんが美羽ちゃんのお母さん代わりになって病院へ行くのが、一番自然に見えるはず。
万が一誰かに見られても『生理不順で』って言っておけばいいの。
病院でも正常な妊娠であることがはっきりしたら、お家の人に連絡して来てもらわないとね」
「うん、そうしてもらいなさい、菫」
「お母さん、お姉ちゃん、ありがとう……」
私達の神妙な顔を見て、小梅ちゃんがよだれを垂らした。そして。
「ぶぶぶぶぶ~~~~っ」
「ひゃあ、小梅ちゃん! よだれ飛ばさないでよ~」
「ああ、歯が生えかけて、歯茎がむずむずするんだよね。
可愛い姪のよだれなんだからちょっとくらいいいじゃないの」
よだれのシャワーを浴びて、笑いながら考えた。
小梅ちゃんも、去年の今頃はお姉ちゃんのお腹の中にいたんだって……。