セピア色と唄う魚
―ピピピピピピ
携帯から目覚ましのアラーム音が流れる。
どんなに眠くてもこの音がすると目が覚めてしまうのが不思議だ。頭に響くような高い音を一秒でも早く止めようといつも通りすばやく解除した。音が止まると再び仰向けになり天井を見つめた。
昨日の月の事を思い出す。三日月が満月になってまた三日月に戻る。しかも一瞬で。果たしてそんなことが起こり得るのか。
ないな。ない。見間違いだわ。そんなことあるわけないもんな。
僕はそう言い聞かせながら起き上がった。
あまり長く考えたくなかった。また昨日のように見えない何かが絡みついてきそうな気がしたし、何も考えなければいつも通り時間が流れる気がしたから。
ベッドから降りて、カーテンと窓を開けた。今日はいい天気だ。しかも、空気が冷えて気持ちいい。
いつもと同じ風の音が僕を少しほっとさせた。
―――蒼い瞳は水の中、緑の空を見つめてる
緑の空の向こうには、私を見てる虹がある―――
「ん?」
何か聞こえた気がして、僕は歯ブラシをくわえたまま耳をすました。
さっきつけたラジオからニーナ・シモンの声が聞こえる。朝日のあたる家がちょうど流れていた。
僕は止めていた手を動かして身支度を再開させた。少し髪が伸びてきたな、今週末にでも切りに行こう、そんなことをぼんやりと考えていた。
携帯から目覚ましのアラーム音が流れる。
どんなに眠くてもこの音がすると目が覚めてしまうのが不思議だ。頭に響くような高い音を一秒でも早く止めようといつも通りすばやく解除した。音が止まると再び仰向けになり天井を見つめた。
昨日の月の事を思い出す。三日月が満月になってまた三日月に戻る。しかも一瞬で。果たしてそんなことが起こり得るのか。
ないな。ない。見間違いだわ。そんなことあるわけないもんな。
僕はそう言い聞かせながら起き上がった。
あまり長く考えたくなかった。また昨日のように見えない何かが絡みついてきそうな気がしたし、何も考えなければいつも通り時間が流れる気がしたから。
ベッドから降りて、カーテンと窓を開けた。今日はいい天気だ。しかも、空気が冷えて気持ちいい。
いつもと同じ風の音が僕を少しほっとさせた。
―――蒼い瞳は水の中、緑の空を見つめてる
緑の空の向こうには、私を見てる虹がある―――
「ん?」
何か聞こえた気がして、僕は歯ブラシをくわえたまま耳をすました。
さっきつけたラジオからニーナ・シモンの声が聞こえる。朝日のあたる家がちょうど流れていた。
僕は止めていた手を動かして身支度を再開させた。少し髪が伸びてきたな、今週末にでも切りに行こう、そんなことをぼんやりと考えていた。