恋の相手はメイド君!?
「あんたは、待ってたら男が来る思うてへんよね?」


「え?」


コーヒーカップから、皐月に顔を向けた。


さっきまでニヤニヤしていた表情が、キュッと引き締められていた。



「待ってたって、恋は叶わんよ。
どちらかが行動起こして、気持ちが通じ合って付き合いが始まんねん。

それが男からやなんて、そんなん甘えやわ。
好きなら、自分からいかな何もかわらんのよ」



皐月の言葉一つ一つが、あたしの胸にジーンときた。



待っていても、何も変わらない。

自分から行動を起こさないのは、ただの逃げでしかない。



そうかもしれない。


「思い出したくないかもやけど、先輩の時もそうや。あんたは気持ちを抱えたまま、一年も片想いしてた。
そんなことしてたら、誰かに奪われてもしかないし、先をこされて一番辛いんは本人やないの?

千尋君を好きで、ものにしたいなら本気でぶつかっていくことやね」


うんうんと話の間中、あたしは何度も頷いていた。


もうあんな思いしたくない。


千尋とは、ちゃんと付き合いたい。


お互いを大切にして、ちゃんとした恋人になりたいんだ。
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