恋の相手はメイド君!?
嫌な緊張感に包まれ、あたしは微動たりと動けずに、だけど千尋からも目をそらせないでいた。
「なにそれ、誘ってるん?」
不愉快だと言わんばかりに、目に力が加わった。
あたしは、失礼なことをしているのだろうか。
爪先から次第に熱がひいていった。
「あんなっ…」
「きぃや」
「え……?」
短い言葉でも、逆らえないほどの迫力があった。
冷ややかな目線。
足を組み、両手をベッドについて初めて大きな態度を見せてくる千尋。
「誘ってるんやろ?
やったら、こい」
「……っ」
鉛のように重たい足を、やっとの思いで進ませて千尋の前に立った。
ゆっくりと伸びてくる手。
千尋の大きな手が、あたしの腰を引き寄せる。
ビクンッと、それだけで身体が反応した。
「…緊張しとる?」
ピタリと頬が、お腹に当たる瞬間、またビクンと跳ねる。
何度か頷いた。
-グイッ!
身体が宙を浮き、気付いたら冷たいベッドの上に仰向けに転ばされた。
急な展開に、頭がついていかない。