恋の相手はメイド君!?
クリスマス前夜、千尋は突然姿を消した。


何の前ぶれもなくいなくなったこと、そういえば何故なのか聞いていなかった。


今なら、聞いてもいいよね……?



「何で、あの日……急におらんなったの?」


ベッドの上で丸くなる千尋の前に手をついて、うつ向く千尋の顔を覗き込んだ。


すると、ゆっくりと上がる頭。


サラサラと黒髪が揺れていた。




「惚れたら……あかんと思ったから」


一瞬だけ目を合わせて、また反らす。


千尋?



「あの男が忘れられんで泣く欄を毎日見て、必死になって泣くのを我慢する欄を見て……。

俺は、ちょっとずつ気持ちが変化してった。
俺がー…忘れさせたりたいって……」



灯りに照らされた千尋の顔に影がかかる。

表情が暗い。


千尋が言う台詞があたしを喜ばすはずなのに、この胸騒ぎはなんだろう。


千尋が笑ってくれないと、あたしも笑えないんだよね……。




「でも俺は、欄を支えることは出来ても慰めることは出来ても。
ずっと一緒におることは出来んからな……。

所詮仕事の関係や、やから俺が惚れてまうまえに逃げた……」

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