恋の相手はメイド君!?
「寝起きに驚かせたろ思うてな。
驚ろいた欄も可愛ええなぁ」


「……は?」



なんですと?


驚かすって、あたしをか?

それって、まんまと千尋の悪戯にハマったわけか?




「あんま可愛ええことしよったら、忠実なメイドかて本性剥き出しの狼になってまうで」


ベッドが千尋の重みに沈み、言われたあたしは真っ赤になる。



ホッソリとした綺麗な指が、あたしの輪郭をなぞりドキンとした。



「忠実なメイドって、千尋?」


「家事も炊事もそつなくこなして、ダメダメなご主人様の面倒をちゃんとみてるつもりやけど?」


「……むかつく」



からかわれているんだと、今ハッキリとわかった。



だけど、やっぱりホッとした。


千尋は変わらない。



千尋に抱きつくと、ギュッと抱きかえしてくれる。



嬉しくて、表情が緩んだ。


「あったかいなぁ」


「あったかいねぇ」


千尋の体重があたしにのしかかり、顔を上げると真顔を千尋がいた。



「千尋…チューしたい」


「チューって、鼠かいな」


ハニカンだ笑みが、可愛かった。
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