恋の相手はメイド君!?
「足下、気ぃつけや?」
「うん! ありがとう!」
四駆って、スカートだとお尻から乗る体制になるんだよね。
乗って気が付いた。
「ええ眺め!」
ニヤニヤする千尋。
「うっさいっ!!」
照れ隠しで叩いてやると、わざとらしく『いたた…』と肩を擦る千尋がいた。
そんな千尋を見ながら助手席に座り、ちゃんとシートベルトをしめた時、運転席に千尋が乗り込んでくる。
身体の大きな千尋には、ぴったりな車だな。
車内は黒で統一されて、シンプルでカッコイイ。
車まで、あたし好みでドキドキした。
「ほな、しゅっぱーつ!」
片手をグーにして伸ばす姿なんて、見た目には合わないけどギャップにグッと来るよね。
思わず千尋に背を向けて、ガッツポーズなんてしてしまった。
青い空に、転々と雲が浮かぶ中を、あたしたちを乗せた車は走って行く。
車やビルや人しか見えなかった景色が、次第に自然に変わり始めた頃だった。
………ヤバイな。
煙草…吸いたくなってきた。