恋の相手はメイド君!?
「何を気にしとんか知らんけど、俺は人のやることを否定したりも見下したりはせん。

やから、欄が吸いたいなら遠慮はすんな」


そう言ってくれるのは、ホントに嬉しい。



それでも、やっぱり気にしちゃうのだ。



「でも―……」


―ペチン。


前を向いたまま、あたしの額を軽く叩いてきた。


唖然として千尋を見ると、ちょっとだけこっちを見てくる。





「俺の前では気ぃつかうなや」



「え―…っと」



なんか照れた。


そんなこと言われ慣れてないからだろうな。


叩かれた額を擦りながら、チラチラと千尋を見る。


「ご主人様は、偉そうなんが常やぞぉ」



はいっと、赤信号で停車した時灰皿を渡された。


極上の甘い笑顔つきで。




「ホンマにええの?」


「ご遠慮なく、欄様?」



ハンドルに身体を預けた千尋が、小さく頭を下げた。


車がまた進み出して、手の中に収まる丸く細長い灰皿をギュッと握りしめながら、千尋の優しさやおおらかさに感激した。




あたし、ホントに良い人に出会えたな。



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