恋の相手はメイド君!?
千尋の仕事の常連さんってことは、千尋を家政婦として雇ってたってことでしょ?
なのにあの態度は何?
色目使ってさ……。
千尋も慣れた感じで対応してるし、見ててムカつく。
つまりヤキモチなんだけど、これって仕方ないよね?
あたし、悪くないと思うよ。
「千尋さん、車まで送ってもらえる?」
何言ってんだ。
千尋は、あたしとデート中ですよーだっ。
思わず舌を出したら、チラリと千尋と目が合った。
あたし……睨まれた?
鋭い眼孔に、出した舌を引っ込めた。
けど、納得出来ない。
何であたしが、睨まれたの?
「もちろんですよ。
でわ、行きましょうか?
足下に気をつけてくださいよ」
は?
益々意味不明だ。
何で千尋が送るの?
あたしは置いてけぼりだし。
冷たい風が吹くなかで、おばさんの腰に手を当てて笑顔で送る千尋を見つめた。
キュッと、胸がわしづかみにされたようだった。
千尋………。
どうして?
あたしとデートなはずなのに、見知らぬおばさんに優しくしないでよ。