恋の相手はメイド君!?
寒空の下で待つこと数分。

ジャケットに手を突っ込んで帰って来た千尋に、あたしは睨みをきかす。



晴れだしていた空も、また雪雲におおわれた。

そんななかで、彼女よりおばさんをとるわけ?



「……ごめん」


「さっきのなに? 誰?」

「…えっと」



なに、その言いたくなさげな表情は。


あたしは、聞いちゃっ不味いことでも聞いちゃった訳?



「あの人は、お得意様やねん」


「だから?」


「だから……」


「お得意様やからって、あの熱々な対応する必要あんの?」


笑顔を見せるくらいならいいよ(ホントは嫌だけど)



だけど肩を抱いたり、腰に手を添えたり。


彼女をほって、おばさんを見送ったりするのは仕事に関係あるの?



「……普通に対応したつもりや」


「普通……」
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