恋の相手はメイド君!?
そんなの……言われなくてもわかってるよ。
ただ、スキンシップが過激に思えてヤキモチやいただけだ。
だから、千尋に甘やかせてほしかったのに……。
欄だけやから……とか、おばさんに見せた笑顔より、もっととびきりの笑顔で言ってほしかっただけだ。
「…なんよ、それ」
なのに、何で、そんな冷たい言葉を使うの?
冷たくなった手を強く握ってみたのに、冷えすぎて痛みすら感じなくなっていた。
身体の芯まで冷えている。
なのに、たった一つだけ熱い箇所があった。
「泣くなや……。
欄は、悪ぅないから」
すすり泣く声に千尋が振り向く。
同じように冷えた指が、溜った涙を拭うけど、あたしの心は熱を持たない。
今さら優しくしないでよ。
先にその優しさをみせてほしかったのに……。