恋の相手はメイド君!?

「それは、おめでとうと言うべきか、言わないべきか……あたし凄く困りますが?」



「一応言って……」



「おめでとう」



………複雑だ。



会社に出勤して、昨日の出来事と千尋と付き合えたことを皐月に報告したはいいけど、やっぱり今の心境では喜べない。



休憩室の隅っこにある喫煙所で、女二人煙草を吸う。



止めるつもりが、プカプカ吸ってしまうのはストレスだと言い訳してみた。



実際、苛々した時は吸ってないとヤバイんだもん。


苛々……苛々ってね。




「千尋君って謎が多い人やな?」


「んー?」



謎?


組んだ足をブラブラ揺らす皐月。


あたしは、ふぅと煙を吐きながら足をボーッと見ていた。



「よく考えたら、男のメイドとか怪しぃない?
普通メイドは女やん。

やから、わざわざ、男にして女をターゲットにする必要もないわけやし」



あたしもそれは思ったことがある。


クリスマスに一人で寂しいのは、なにも女ばかりじゃない。


それにメイドなんてキーワードを出せば、男をターゲットにした方が断然受けは良かったと思う。

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